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俺と文鳥と死線 2006-7-10

皆さんは人生で、死にそうになったことがあるだろうか。俺は何度かある。プラトーンのエアリス曹長ばりに死線をくぐりぬけて来た俺のことだ。今、生きているだけで運がいい。

あれは高校3年の夏、ある旅館に下宿をしていた時の事だ。

その夏、全くもてない、性格も悪い、進学校だというのに成績は下がる一方、しかも一人で下宿暮らし、金もない、俺は、そんな状況を生きていた。

ある日、俺は勉強もせず、家で小説なんかを読み文学青年を気取っていた。そんな時、外で大きな音がする。部屋の窓からははっきり見えないが、地元の花火大会が開かれているようだ。

「屋根に上って、音楽でも聞きながら、花火を見るというのは粋なのでは

そんな事を、思いWALKMANにカントリーロード(耳をすませば版)を入れて屋根に上る事にした。

2階建ての旅館は登ると結構高い。そして、外からみるより屋根に角度があり、とてもゆったりカントリーロードを聴く感じではない。後、屋根って結構汚れていて、非常にざらざらしている。しかも瓦はガタガタ動いて不安定。

とにかく粋だと思い始めたことであるが、どうもドラえもんでのび太とドラえもんが屋上で話をしたりしているのとは訳が違うということに気づき始めた。とりあえず花火をそこそこに、カントリーロードだけ聴いて屋根から下りることにした。

今日の「その時」はまさにこの瞬間である。(BY その時歴史は動いた。)

登るのがあんなに簡単だったのに、降りるのがこんなに難しいなんて誰が知ろう。掴んだ、雨どいがミシミシいって今にも折れそうである。下は、ちょっとした中庭になっていて、大きな石がいくつか配置されている。暗くて見えないが、落ちたら無事ではすまないだろう。

なんて思って必死に降りようとするが、屋根にぶら下がる形になってしまい、足が何故か廊下の手すりにつかない。屋根は廊下から突き出ているから屋根の機能を果たすのである、足がつかなくて当然であるが、混乱している俺は気づかない。なんてことしていると、ポケットからWALKMANがずり落ちて、暗闇に吸い込まれていった。

カントリーロード、この道、ずっと、行けば~
あの街につづいてる、気がする、カントリーロード
帰りたい、帰れない、カントリーロード

俺はぶら下がりながら、心の声でカントリーロードを口ずさんでいた。遠くでは、まだ花火の音がしていて、隣のビルが花火色に染まってキレイだった。

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