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文鳥小説 第二羽 「掃除」


前回までの文鳥小説。

渋谷で拉致された俺は、謎の和服美女に8人の文鳥使いの一人であることを告げられる。そして残りの7人を探して東京を災厄から守る使命を託されたのであった。

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俺は家に帰った。俺の文鳥は元気だろうか。心配だね。玄関の扉をあけると、文鳥の鳴き声が聞こえてきた。よかった無事だったわ。

俺は部屋に戻って文鳥のゲージを開けてやった。文鳥が鳴きながらいつもの定位置の扉の上に止まった。文鳥は世間の人が思ってるよりも頭がいい。多分、猫とか犬くらいは頭がいい。うちの文鳥は白文鳥といって真っ白の羽にピンクの嘴。きれいだわ。

しかし文鳥使いといってもな。東京を守れと言われてもな。何から始めればいいのやら検討もつかない。困ったな。ネットとかで調べたらいいのかな?

「オレブンさん、オレブンさん」

一人暮らしの俺の部屋に女性の声がする。どうも文鳥の奴がしゃべっているらしい。

「おい、ブンちゃん。どうして人間の言葉をしゃべるようになった?」

「私が推薦しといだんですよ。オレブンさんを文鳥使いに。そしたら文鳥会議で可決されたらしくて。よかったですね。」

「いいも悪いもないけど。まあうちのブンちゃんのお願いだったら聞かないわけにいかないな。」

「いやあ、私嬉しいです。オレブンさんと人間の言葉で話ができて。いつも餌もう少し早く交換してくれるとうれしいんでが。」

「ごめんね。朝、俺遅いから。」

「お仕事見つからないんですか?」

「不況ってやつだわ。」

そう俺は三ヶ月ほど仕事が見つかっていない。文鳥使いを探してる場合ではないが、探す時間は腐る程ある。

「文鳥は文鳥が仕事です。オレブンさんは、オレブンさんでいることも仕事ですよ」

「ありがとう」

東京で暮らすのにはお金がかかる。わずかな貯金と、文鳥。なにもない。俺は思った。

「まずは、ちょっとゲージが汚れてるから掃除するわ。」

「ありがとう、オレブンさん。」

文鳥は嬉しそう肩の定位置に乗った。俺は風呂場でゲージをこすった。汚れがたまっている。ゴシゴシこする。きれいになる。

東京を救うのは、大きいことだ。だが、まずは目の前の文鳥だ。大事にしている文鳥が話せるようになった。

無職になってからの荒んだ生活。何かを取り戻したかった。

どんな道でも、まずは一歩だ。

「オレブンさん、ほらそこも汚れてますよ」

「わかった、わかった。」

風呂場で洗いもをしていると、中腰のせいで背中が痛んだ。しかしゲージはかつてないほときれいになった。部屋ももともとがらんとしていだか、ちょっと雑巾で水拭きするか。

雑巾をギュッとしぼった。文鳥が「チュンチュン」鳴いた。

続く

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